HOME > 平成28年度 短歌道場in古今伝授の里 結果発表



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短歌道場in古今伝授の里

◆開催日
平成 29218日(土)・ 19日(日)
◆会場
古今伝授の里フィールドミュージアム
(岐阜県郡上市大和町牧 912-1  TEL0575-88-3244
◆内容   
開会式、予選トーナメント、決勝トーナメント、表彰式、閉会式
◆審査員 
(敬称略、順不同)
小塩卓哉(中部日本歌人会委員長)
鈴木竹志(中部日本歌人会副委員長)
後藤すみ子(岐阜県歌人クラブ副会長)
田中ましろ(かばん・うたらば)
野口あや子(未来短歌会)
石井僚一(北海道大学短歌会)

◆参加者
*恣意舞裏威頭(北村早紀・森本直樹・榛葉純)
*さくら組(嶋田さくらこ・門脇篤史・千原こはぎ・月丘ナイル・泳二)
*エクストリームピーナツ(堂園昌彦・永井祐・谷川由里子・土岐友浩(欠)・大森静佳(欠))
*さくや心の花チーム(御手洗靖大・佐藤博之・桜望子・塚本瑞江・梅原ひろみ)
*立命短歌会(坂本歩実・佐々木悠・草間凡平・はたえり(欠))
*めんたいたまごやき友の会(水本まや・竹中優子・漆原涼)
*怪獣歌会(山城周・斉藤志歩・鳥居萌・川野芽生)
*一筆箋(神保茂・若林芳樹・加賀塔子(欠)・新井結賀(欠))
*運営協力スタッフ(濱松哲朗・廣野翔一・久納美輝・本目詩織・松岡里記・大森晴加・岡田宙也 )

※(欠)=事情により当日欠席された方

◆結果発表

*優勝チーム
エクストリームピーナツ(堂園昌彦・永井祐・谷川由里子・土岐友浩(欠)・大森静佳(欠))
*準優勝チーム
めんたいたまごやき友の会(水本まや・竹中優子・漆原涼)
*特別賞 中部日本歌人会賞 
草間凡平(立命短歌会)
*特別賞 岐阜県歌人クラブ賞
梅原ひろみ(さくや心の花チーム)
*特別賞 角川『短歌』編集部賞
谷川由里子(エクストリームピーナツ)

◆短歌道場in古今伝授の里 詠草一覧

【予選トーナメント】
<予選Aトーナメント 第1試合  エクストリームピーナツ 対 怪獣歌会>
[エクストリームピーナツ] 先鋒「君の生まれた日を僕たちが祝うときそこにかわいい崖崩れがひとつ」(堂園昌彦) 次鋒「後日公開」(永井祐) 中堅「イントロがきれいな曲だねきみの開くWordの裏がわのYouTube」(谷川由里子) 副将「悲しみが夢を伝って降りてくる春浅き日の牡鹿の顔で」(堂園昌彦) 大将「後日公開」(永井祐)

[怪獣歌会]  先鋒「冬の木々酒杯のごとく並べられひかり溜めをりまつたき朝に」(川野芽生) 次鋒「私の考えた名は採用されなかったがその象が生きているのをときどき見る」(斉藤志歩) 中堅「燃えやすき薪と思う子羊の骨おおざらに積み重ねつつ」(山城周) 副将「ぴろぴりと雲は伝線し始めるまひる鋭きもの地に立ちて」(鳥居萌) 大将「双眸はつがひならねば死ののちを放たれておのが都へ帰れ」(川野芽生)

                              

<予選Aトーナメント 第2試合 さくら組 対 一筆箋>
[さくら組]  先鋒「ダウ平均株価終値1000ドル安 きみよ変わらず健やかであれ」(嶋田さくらこ) 次鋒「名字から垂るる暗きを滲ませて故郷の米を受け取りてをり」(門脇篤史) 中堅「もう一つシナモンロールを食べましょう毛玉だらけのスウェットを着て」(泳二) 副将「電話ごしにあなたがついたため息の伝染性を恨んでしまう」(月丘ナイル) 大将「日々痩せてゆく畑ですいつからかあなたの雨が降らなくなって」(千原こはぎ)

[一筆箋]  先鋒「白妙の雪とも消えで永らへばつねよりもなほ群青の空」(神保茂) 次鋒「都鳥集ふ浜名湖佐久米駅名にし負はばといざ言問はむ」(若林芳樹) 中堅「うつせみの世はかしかましぬばたまの夜が来たるらし平成の末」(神保茂) 副将「リボンかけ綺麗に飾ったそれなのに想いを伝えられぬまま今日」(若林芳樹) 大将「七匹の龍の死骸が降ってくる剥がれた鱗がとても綺麗だ」(神保茂)
<予選Aトーナメント 第4試合 さくら組 対 エクストリームピーナツ>
[さくら組] 先鋒「脚線美見せつけておりポスターのど真ん中にて越前ガニは」(月丘ナイル) 次鋒「僕たちは月に土足で降り立ってそこを静かの海と名付けた」(泳二) 中堅「絆創膏ゆっくりゆっくり剥がすよう君とはぐれる未来へ向かう」(千原こはぎ) 副将「遺伝子の眠りは深い妹の子らのわたしに似ていないこと」(嶋田さくらこ) 大将「そして雪 すでに真白き文明をしづかにしづかに覆ひてゆけり」(門脇篤史)

[エクストリームピーナツ]  先鋒「後日公開」(永井祐) 次鋒「冬庭におさなごがふと目を上ぐる名を告げられし者のごとくに」(堂園昌彦) 中堅「手話で風、風をしながらエアコンはつけない 風は、風がいいから」(谷川由里子) 副将「後日公開」(永井祐) 大将「書かれなかった冬のしおりも旅行記もこころに焚いて撒いたこころに」(堂園昌彦)

<予選Aトーナメント 第4試合 怪獣歌会 対 一筆箋>
[怪獣歌会] 先鋒「秋田弁別にええやんと言われるんだすなと思うそうですねと言う」(斉藤志歩) 次鋒「私の考えた名は採用されなかったがその象が生きているのをときどき見る」(斉藤志歩) 中堅「燃えやすき薪と思う子羊の骨おおざらに積み重ねつつ」(山城周) 副将「ぴりぴりと雲は伝線し始めるまひる鋭きもの地に立ちて」(鳥居萌) 大将「双眸はつがいならねば死ののちを放たれておのが都へ帰れ」(川野芽生)

[一筆箋] 先鋒「重たげに赤い光を引きずって最終列車が回送される」(若林芳樹) 次鋒「夕ぐれに名を問いかける者があるどこまで逃げても追いかけてくる」(神保茂) 中堅「暁の空に烏がぽつぽつと悲しみを知らない顔で飛ぶ」(若林芳樹) 副将「身の締まる冬の青空事もなく電線伝う異貌の男」(神保茂) 大将「湯を入れてまだかまだかと待つ内に今日も遠くで弾丸がとぶ」(若林芳樹)



<予選Bトーナメント 第1試合 めんたいたまごやき友の会 対 立命短歌会>
[めんたいたまごやき友の会] 先鋒「ちえこさんが言うならそうで あたたかい余白を万年筆が転がる」(水本まや) 次鋒「薄氷を光の駆けてコピー機は名と没年をひすがら吐けり」(漆原涼) 中堅「神様もお好み焼きは好きですか言われたくないとき笑いますか」(竹中優子) 副将「伝へずに背を見る冬にこんこんと夕陽を汲んでゐる観覧車」(漆原涼) 大将「球(きゅう)として悲しみを留(と)めておく きみのまぶたへ落としていくキスがある」(水本まや)

[立命短歌会] 先鋒「たてがみのような寝ぐせをたなびかせチャイナマフィアに紹興酒チョップ」(草間凡平) 次鋒「がらんどう羽をやすめる蝶に似た椅子の名前が思い出せない」(はたえり) 中堅「海よりも炎の子として生きるなら夜も眠りも救いではない」(坂本歩実) 副将「白梅へさしだす舌に伝う甘露は見知らぬ姉に似ている」(佐々木悠) 大将「傷口を広げてしまったとしてもあなたのことを知るための指」(坂本歩実)

                  

<予選Bトーナメント 第2試合 さくや心の花チーム 対 恣意舞裏威頭>
[さくや心の花チーム] 先鋒「そちらでは積もりましたか 充電のスマホの裏であたためる夜」(御手洗靖大) 次鋒「名刺入厚みの中に我の名が活字のままに重なりわたる」(佐藤博之) 中堅「さらさらと糺の森に立春の陽の満ちてきてこぼれ落ちたり」(塚本瑞江) 副将「伝わらないことが悲しいわけじゃない月見草の花いっしょに見よう」(桜望子) 大将「日脚伸ぶガラスの瓶に入れ替えるコーヒー豆のぴちんと跳ねる」(塚本瑞江)

[恣意舞裏威頭] 先鋒「駅前でティッシュ配り狩り出たらしい春一番に杉はたなびく」(榛葉純) 次鋒「樹の文字を名に持っていて目覚めれば朝三杯の水をのみほす」(森本直樹) 中堅「坂道に加速していく自転車を止めるかどうかを風にゆだねる」(森本直樹) 副将「伝わってしまいましたか君たちは明けがた鶴の群れになります」(榛葉純) 大将「銭湯の子にうまれたらお疲れ様を手なづけるため撒くバスロマン」(北村早紀)

                    

<予選Bトーナメント 第3試合 めんたいたまごやき友の会 対 さくや心の花チーム>
[めんたいたまごやき友の会] 先鋒「鼻先にマフラーたしかむる朝のひかりに鉄塔頽れてをり」(漆原涼) 次鋒「なずなの季節の子だから、なずな 名を綱にたどるあなたの咲いた春の陽」(水本まや) 中堅「無着色を選んで明太子買う昼にししっししっと春は行きたり」(竹中優子) 副将「ストッキングに伝線はあり囁きと祈りの中に立つ授賞式」(竹中優子) 大将「凧糸を鋭角にして少年が空を散歩へつれだしてゆく」(漆原涼)

                                     

[さくや心の花チーム] 先鋒「あつあつのフリットを食(は)み着ぶくれのお喋り続く冬のマルシェに」(梅原ひろみ) 次鋒「ただいまと犬の名前は序詞でフローリングに滑る足音」(御手洗靖大) 中堅「月曜の通勤電車の窗に浮く明け殘りたる月の缺け幅」(佐藤博之) 副将「遠巻きな言葉で伝えるさようならさんま明太しずかにひかる」(塚本瑞江) 大将「近づいてみては離れるため池のめだかすくってみせてその手で」(桜望子)

                            

<予選Bトーナメント 第4試合 立命短歌会 対 恣意舞裏威頭>
[立命短歌会] 先鋒「死ぬために来たのに密漁監視者が怖くて帰る(夕飯どうする?)」(佐々木悠) 次鋒「タイミング・姿勢からしておそらくは名刺なのだろう金の折り鶴」(坂本歩実) 中堅「大切なものから順に失ってゆく葉桜はひかり透かして」(はたえり) 副将「雪にたわむ傘を投げ捨ててもよいか 吐きそうなんて伝えられるか」(坂本歩実) 大将「自分すら言語化できずに窒息する俺を視ているAmazonの箱 笑うな」(草間凡平)

[恣意舞裏威頭] 先鋒「駅前でティッシュ配り狩り出たらしい春一番に杉はたなびく」(榛葉純) 次鋒「樹の文字を名に持っていて目覚めれば朝三杯の水をのみほす」(森本直樹) 中堅「サン・ラザールの囚人の書く便箋は胸の広さの机に置かれ」(森本直樹) 副将「伝わってしまいましたか君たちは明けがた鶴の群れになります」(榛葉純) 大将「銭湯の子にうまれたらお疲れ様を手なづけるため撒くバスロマン」(北村早紀)


【決勝トーナメント】
<決勝トーナメント 準々決勝A 立命短歌会 対 さくら組>
[立命短歌会 ] 先鋒「死ぬために来たのに密漁監視者が怖くて帰る(夕飯どうする?)」(佐々木悠) 次鋒「タイミング・姿勢からしておそらくは名刺なのだろう金の折り鶴」(坂本歩実) 中堅「がらんどう羽をやすめる蝶に似た椅子の名前が思い出せない」(はたえり) 副将「雪にたわむ傘を投げ捨ててもよいか 吐きそうなんて伝えられるか」(坂本歩実) 大将「自分すら言語化できずに窒息する俺を視ているAmazonの箱 笑うな」(草間凡平)

[さくら組 ] 先鋒「冬に手を放した人を思い出す さざんかさざんか冷たいにおい」(嶋田さくらこ) 次鋒「路地一本越えたところでミーちゃんはふくの名前で呼ばれておりぬ」(月丘ナイル) 中堅「使者からのこゑを湛へて一冊はブックエンドにもたれてゐたり」(門脇篤史) 副将「肉まんを半分ちぎって渡すときふれた指から伝わればいい」(千原こはぎ) 大将「ぬばたまのぬばたまくれなゐのくれなゐけふあひにいくあなたのあなた」(泳二)

                   

<決勝トーナメント 準々決勝B さくや心の花チーム 対 怪獣歌会>
[さくや心の花チーム ] 先鋒「夢は覚め柳は風になびくけど私のまとう動詞なんかない」(桜望子) 次鋒「朝まだき私が君でないことを確かめるため君の名をよぶ」(塚本瑞江) 中堅「肉球を握りしめたりかえること拒むがごとくこんなに冷たい」(御手洗靖大) 副将「君の待ちゐたる長さを傳へぬる繫ぐ右手の指の冷たさ」(佐藤博之) 大将「猫嫌ひだからつて悪い人といふ訳ではなくて猫除けガード」(梅原ひろみ)

[怪獣歌会 ] 先鋒「秋田弁別にええやんと言われるんだすなと思うそうですねと言う」(斉藤志歩) 次鋒「私の考えた名は採用されなかったがその象が生きているのをときどき見る」(斉藤志歩) 中堅「燃えやすき薪と思う子羊の骨おおざらに積み重ねつつ」(山城周) 副将「ぴりぴりと雲は伝線し始めるまひる鋭きもの地に立ちて」(鳥居萌) 大将「双眸はつがひならねば死ののちを放たれておのが都へ帰れ」(川野芽生)


                         

<決勝トーナメント 準決勝A めんたいたまごやき友の会 対 立命短歌会>
[めんたいたまごやき友の会 ] 先鋒「一匹の蜘蛛を抱けばわたくしも秋の明るい公園である」(竹中優子) 次鋒「若い女は臭いと言った先生の下の名前を知らないでいた」(竹中優子) 中堅「補聴器をはづせる父に泉水のしづけさ満ちてひと日ごと老ゆ」(漆原涼) 副将「繋ぐ手に、伝える指に、心臓のうつくしい場所だけを明かさない」(水本まや) 大将「夏の名を言えない君の水面が傾く、ゆっくりと蓮は咲く」(水本まや)

[立命短歌会 ] 先鋒「たてがみのような寝ぐせをたなびかせチャイナマフィアに紹興酒チョップ」(草間凡平) 次鋒「がらんどう羽をやすめる蝶に似た椅子の名前が思いだせない」(はたえり) 中堅「死ぬために来たのに密漁監視者が怖くて帰る(夕飯どうする?)」(佐々木悠) 副将「雪にたわむ傘を投げ捨ててもよいか 吐きそうなんて伝えられるか」(坂本歩実) 大将「自分すら言語化できずに窒息する俺を視ているAmazonの箱 笑うな」(草間凡平)

                

<決勝トーナメント 準決勝B さくや心の花チーム 対 エクストリームピーナツ>
[さくや心の花チーム ] 先鋒「あの海と空に選ばれさばさばと手を振り友は島へ向かえり」(塚本瑞江) 次鋒「名を知らぬ人ばかりいるこの町にポツリポツリと明かりが名のる」(桜望子) 中堅「ハブられたバレー部の子を見たといひし子よ右手なるりんごは赤い」(御手洗靖大) 副将「冬の窓静かに閉ぢて話し出す水にぬくもり伝へるやうに」(梅原ひろみ) 大将「眞晝閒の靑果市場の天井の高き暗みを父と見上げつ」(佐藤博之)

[エクストリームピーナツ ] 先鋒「離れたあとの会話のように手袋で顔をこするとあったかくなる」(谷川由里子) 次鋒「スペインで見かけた花のその花の発音が君の名に似ていたな」(堂園昌彦) 中堅「後日公開」(永井祐) 副将「十年に一度 あなたの頬っぺたを伝う涙は懐メロみたい」(谷川由里子) 大将「君は薔薇をわざわざ家に取りに帰る水辺はいいねいつも水辺は」(堂園昌彦)


     

<決勝トーナメント 決勝 めんたいたまごやき友の会 対 エクストリームピーナツ>
[めんたいたまごやき友の会 ] 先鋒「ちえこさんが言うならそうで あたたかい余白を万年筆が転がる」(水本まや) 次鋒「薄氷を光の駆けてコピー機は名と没年をひすがら吐けり」(漆原涼) 中堅「神様もお好み焼きは好きですか言われたくないとき笑いますか」(竹中優子) 副将「伝へずに背を見る冬にこんこんと夕陽を汲んでゐる観覧車」(漆原涼) 大将「無着色を選んで明太子買う昼にししっししっと春は行きたり」(竹中優子)

[エクストリームピーナツ ] 先鋒「シャツにワインをこぼした夏のずっとあとシャツにワインをこぼしたくなる」(永井祐) 次鋒「橋の名をこころに浮かべ渡りきるその橋の名がつくる沢鳴り」(堂園昌彦) 中堅「海風に突っ立ったまま頌春のみかんをふたくちで食べ終えた」(谷川由里子) 副将「離れてもチェックの柄のマフラーを止まり木にして君は伝わる」(谷川由里子) 大将「よろこびがすべての犬を駆け抜けて君の雪の日の白い靴」(堂園昌彦)




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